4月7日 自室
結論を言うと何もなかった。
本当に何もなかった。
部屋の左側に小さめの木目柄のデスクがポツリと置いてあり、反対側におおきく幅をとるベッドの存在感をより一層大きくさせる。
その奥には白い本棚が所在なさげに佇んでいる。その中身は言うまでもなく空だ。
壁には絵画や、ポスターなどが貼ってあるはずもなく、画鋲1つすらない。
いや、刺した後すら見当たらない。
入り口側からは見えない位置にあるクローゼットの中は夏の制服と長袖の薄灰色のYシャツが一枚ハンガーに掛かっているだけで、私服なども見当たらない。
机の中には郵便局の通帳が1冊と暗証番号が書かれたメモがあるだけ。
メモはゴシック体で癖のない文字を映している。あきらかに手書きではなかった。
僕は手掛かりになるものがないという事実にひどくがっかりはしたが、同時に安心もしていた。
本当は怖かったのだ。
今の自分と過去の自分の差が。
今の自分を否定されるような事実などいらない。
そんなものはなくていい。そう思った。
ひとしきり部屋を物色した後、僕はベッドに倒れこむように体を預けた。
柔らかな布団の感触に包まれ、だんだんと意識が落ちていく。
眠い。
そうつぶやいた先は覚えていない。
初期ペルソナまだ決まっていないんだよなあ…
by ゔぁれっじ