4月7日 放課後1
「これで検査は全部終了になります。お疲れ様でした。」
看護婦さんの声にほぅと息を吐いた。
6日間も拘束されるとは思ってもいなかった。
なんだか体が疲れている感じがする。
「学校にはこちらから連絡いたします。おかけになってお待ちください。」
病院入り口付近の椅子に腰かけ、うとうとしながら時間が過ぎるのを待っていると、聞いたことのあるバタバタとした足音が聞こえてきた。
病院の出入り口に視線を向けると、白衣姿の保健室の先生が慌てた様子でこちらに向かってくる姿が見えた。
それにしてもなんだか眠い。体がだるい。
この6日間程、慣れない場所で緊張でもしていたからだろうか。
先生は今はどうやら医師と話をしている。
どんな話をしているのか遠くて聞き取れない。
瞼が重い。とても眠い。
きっと先生が起こしてくれるだろう、なんて他人任せな考えが浮かぶ。
僕は眠気にあらがうことができず、意識を手放した。
ガタンガタンと何かが揺れているような音とごうごうと低い音が遠くで聞こえてくる。
まるで電車に乗っているようだとぼんやりとした頭で考えると、音はだんだんと大きくなっていった。
…いつから僕は電車に乗っていたのだろうか。
はっとして目を開くとともに意識を覚醒させる。
目の前にはひたすら青が広がっていた。
椅子も床も明かりもすべてが青い。
どこまでも青い空間で、僕は長い鼻が特徴的な白髪のおじいさんと向かい合って座っていた。
その隣には青い服を着た男女がそれぞれ横に立っている。
戸惑う僕に老人は口を開いた。
「ようこそ、我がベルベットルームへ」