僕と話をしよう。

のんびりきままにペルソナオリジナルストーリー更新していきます。たまにほかの記事も書くかも。

4月7日 放課後2 ベルベットルーム

「ようこそ、我がベルベットルームへ」

長い鼻の老人が歓迎する言葉を述べる。

老人の見た目こそ奇妙だが、声は割と優しげな声をしていてギャップを感じる。

僕を眺めると

「これはまた、数奇な運命をお持ちなようだ…フフ。」

意味ありげな言葉と共に笑った。

数奇な運命。簡単に言えば波乱万丈になるということ。

目の前の老人の目をじっと見続けていると、なんだかすべてを見透かされているような気分になり、体がむず痒くなる。

見ただけで運命なぞ分かるものかとも思ったが、この老人が言うのであれば、もしかするとこの先その意味通りの人生が待っているのかもしれないと、頭の隅で考えてしまう。

何よりもこの奇妙な空間がそうさせる。

「申し遅れましたな、私の名はイゴール。お初にお目にかかります。

ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場所・・・。ベルベットルームの主を致しております。同じくここの住人で、右におりますのがロイエ。左におりますのがルグレでございます。」

「僕はロイエと申します。」

「私はルグレと申します。」

「「お客様の旅路のサポートをさせていただきます。

  以後お見知りおきを。」」

右側の男性がロイエ、左側の女性がルグレと名を名乗る。

 

どちらも銀髪ということ以外共通点がなく、見た目も雰囲気も全然違うにもかかわらず、そっくりだと思った僕は目が疲れているのかもしれない。

「さて、あなたの名前を伺っておくとしましょう。」

特に警戒するわけでもなく素直に自分の名前を話す。

「ふむ、なるほど。

 ここは何かの形で契約された方のみが訪れる部屋…。 

 今からあなたはこの”ベルベットルーム”のお客人だ。」

お客人という言葉に引っ掛かりを覚えながらも、相槌をうつ。

なんとなくだが、今は説明してくれないだろう雰囲気を感じ取ったからだ。 

向こうも僕が理解していないことをわかっていて、それでも話を進めているのだろう。

「あなたは力を磨くべき運命にあり、必ずや私どもの手助けが必要になるでしょう。」

だが…と老人は続ける。

「あなたはまだ力が覚醒していないご様子。

 時が来たらまたお会いしましょう…。」

力とは?どうやったらその力は磨けるのか?そもそも…

色々聞きたいことがあるのにだんだんと意識が遠くなっていく。

瞼が重力に逆らえず、視界は徐々に狭まる。

やがて完全に目を閉じきったが、あの鮮烈な青は瞼の裏に焼き付いていた。