僕と話をしよう。

のんびりきままにペルソナオリジナルストーリー更新していきます。たまにほかの記事も書くかも。

4月7日 放課後3

かすかに声が聞こえる。

瞼をすり抜け、刺すような鋭い光が眼球を刺激し、意識を浮上させた。

 

「―――。ーーーーぃ。

おーい?寮についたよー。」

聞き覚えのある声にうやむやだった意識が一気に覚醒する。

目を開けると夕焼けの焼けるような赤と、保健室の先生の困ったような顔が視界に飛び込んできた。

まぶしさに思わず目を細める。

どうやら病院から寮に着くまで眠ったままだったようだ。

おそらく先生が車まで運んでくれたのだろう。

車から降りて、一応感謝の言葉を述べておく。

「あぁ、別に気にしなくてもいいのに。律儀にどうも。

 …それにしてもずいぶんと眠っていたね。

 まあ、慣れないところで1週間も過ごしたのだからそりゃ疲れるか。」

うんうん、と頷きながら先生は一人で納得をしている。

不意に首に痛みを感じ、身じろぐと体の節々に痛みが走った。

車内で寝ていたからか体がバキバキだ。

大きく伸びをして固くなった体をほぐす。

「疲れただろうし、寮に戻ったら今日はもうゆっくり休んで。

 君の部屋は1階の124号室だよ。自分で行けるかい?」

 保健室の先生の言葉にうなずく。

「そっか、じゃあこれ鍵ね。

 君の荷物は部屋にあるから安心して。

 体調が悪くなったときは寮の管理人さんに言ってね。

 あとは大丈夫かな、うん。」

それじゃ明日学校でね、と言って先生は車で去って行った。

特に意味はないが、なんとなく手を振って見送った。

今日は本当に疲れた。

早く自分の部屋にいって休みたい…。

それにしても夢で見たあの空間と変な老人…。確かイゴールといっただろうか。

将来困難が待ち受けているかもしれない、と言っていたが一体どういうことなのだろう。

漠然とした不安を抱えたまま自分の部屋にたどり着く。

先生からもらった鍵をドアノブにさす。

カチャリと耳に馴染んだ音を鳴らしてドアは開く。

この扉の先にもしかしたら自分の無くした記憶について分かるもの、アルバムなどがあるかもしれない。

そう思うと期待と僅かな恐怖心が芽生える。

思いを馳せ、僕は銀色に冷たく光るドアノブに手を掛けた。